財産分与
こんなお悩みありませんか?
・どこまでが財産分与の対象になるのか知りたい
・財産の中に不動産が含まれており、状況が複雑になっている
・相手が一部の財産を隠している
・婚姻中に負担していた費用を、財産分与の計算で考慮して欲しい
財産分与の対象となるのは、「婚姻期間中に夫婦で形成した財産」です。そのため、結婚する前からどちらかが持っていた財産は、対象にはなりません。ただし、単純に二等分すれば良いというわけではなく、離婚することで経済的に困窮するであろう側への扶養的な要素や、離婚原因を作ったことに対する慰謝料的な要素も加味して計算していくことになります。
財産分与の金額を算定する要素
財産分与は、通常、以下のような要素も含めて算出することになります。
・親の介護のために費用を支払っていた場合、その分が考慮されることもあります。
・通常は、生命保険に加入している場合は、解約返戻金相当額を算出して、財産分与の対象に含めます。
・将来受け取るであろう退職金も財産分与の対象となります。ただし、退職までの年数によって金額は変わります。
・家のローンが残っている場合は、今後どちらがそれを返済していくかによって、財産分与の金額が変わります。
財産分与には税金がかかる?
財産分与の対象に家や土地が含まれている場合は、その分け方などを巡って話し合いがまとまりにくくなることがあります。そして、もう一つ気をつけなければならないのが税金です。通常の範囲(つまりほぼ二等分)であれば問題ありませんが、そこから大きく乖離した財産をどちらかに渡すことになると、法的には「譲渡した」とみなされることがあります。すると、渡した側は譲渡所得税が、受け取った側は贈与税と不動産取得税を支払う必要が出てきます。もしこれに該当する場合は、税金の支払金額まで加味して財産の分け方を算出する方が良いでしょう。
よくある質問
Q,これまで、相手の親の介護をしてきました。その分は財産分与を決めるときに考慮されないのでしょうか?
家で介護をしているということは、介護施設の入居費用などを抑えることができているため、その分を「財産形成への貢献」とみなして、財産分与の計算に考慮することができる場合もあります。
Q.生命保険金は、財産分与に関係ないのでしょうか?
通常は、解約返戻金相当額を算出して、財産分与の計算に入れ込みます。なお、保険金の受取人を配偶者にしていた場合は、受取人変更の手続きをする必要があります。
Q.将来もらえるはずの退職金は、財産分与に関係ないのでしょうか?
財産分与の対象になります。ただし、どのように分けるのかはまだ確立されておらず、退職までの年数などを考慮して決めていくことになります。
Q.財産分与の割合は、どのように決めるのでしょうか?
財産形成への貢献度によって決まりますが、一般的には50:50と考えることがほとんどです。ただし、世帯収入や家事に対する貢献の仕方は多様化していますので、今後は50:50ではない主張も増えていくと考えられます。
Q.まだローンが残っている家を分与するときは、どのように考えればいいのでしょうか?
ローン残高よりも家の価値が高いか低いかによって、分与の仕方は変わります。また、ローン残高の方が高い場合は、財産分与の対象とはしないという選択肢もあります。
ケーススタディ
ケース 1
ご相談内容
離婚する直前に、相手が通帳をどこかに持っていってしまった。その分も含めてきちんと財産分与したい。
法的なアドバイス
もちろん、相手が通帳を持ち出す前の状態を元に、財産分与を決定するべきです。ただし、相手がそれを認めない場合には、本当にそういった口座や残額があったことを証明するための証拠を集めなければなりません。
結果
口座を突き止めて残額を確認したところ、ほとんど引き出されていました。そのため、引き出す前の状況を元に算出すべきと審判で主張したところ、これが認められました。
ケース 2
ご相談内容
離婚はせずに何年も別居していたが、この度正式に離婚することになった。相手が別居期間の収入も含めて財産分与するよう要求してきたが、支払う必要があるのか分からない。
法的なアドバイス
一般的には、婚姻中に形成された財産への寄与分は50:50だと考えられますが、不仲による別居期間中に形成された財産への寄与は認められないケースが多いです。
結果
別居していたことの証拠などを用意し、審判で別居期間中の資産形成に相手は寄与していないことを主張しました。そして、その主張が認められました。
まとめ
財産分与は、寄与分や分ける財産の種類などによって、話がまとまりにくいことがあります。また、双方の合意ができたとしても、それをきちんと書面に残しておかなければ、後々揉めることもあります。財産分与のことで確かめたいことがある、揉めている、請求したいという方は、当事務所へお気軽にご相談ください。