当ブログにようこそ。
渋谷で弁護士をしている上野訓弘です。
今回は、このシリーズのまとめの予定だったのですが、予定を変更して、
結婚相手が浮気を許してくれたので一度は夫婦が復活したけれども、その後破綻し、かって浮気をした者から離婚請求がなされた場合、つまり「浮気はしたけど、一度は許してくれた場合」には、かって浮気をしていた者が離婚を請求した場合にどうなるのかを記載します。
まとめは、明日、記載します。
浮気が発覚しても結婚相手が許してくれたので夫婦関係は一度は復活としたけれども、うまくいかず何年かしてかって浮気をした者から離婚請求した場合も、やはり3つの条件から総合的に判断するのか?
「浮気が発覚しても結婚相手が許してくれたので、もう一度お互いやり直そうとして、夫婦関係が復活した」というケースも世間に結構多いかと思います。
このとき、復活して、あとは円満なまま末永くという場合もありますが、やっぱりうまくいかなかったということもあると思います。
この場合に、かって浮気をした者からの離婚請求は、これまで同様に最高裁判所の3つの条件を踏まえた総合判断になるのでしょうか?
いいえ、違います。この場合は、普通の離婚と同じ方法で判断します(3つの条件を満たすかどうかは検討しません)。
ただし、以下の点に気をつけてください
こうなるためには、わずか「4~5か月」程度であっても、通常の夫婦といえる程度の平穏な生活が続き、夫婦関係が一度は復活したと評価できる状況が必要です。
つまり、復活させようとしたけれども、やっぱりぎくしゃくして一度もうまくいかなかった場合はだめです。
他方で、夫婦関係の復活期間が、わずか「4~5か月」であっても足りるところも注意が必要です。
また、当然ですが、あくまでここでの「浮気」とは、結婚相手が一度は許してくれた過去の浮気のことで、改めて浮気をした場合には、当然、3つの条件が判断されます。
まとめると、
結婚相手が許してくれた場合に、通常の離婚と同様の基準で判断されるためには、
一度は、夫婦関係が復活すること。
もっとも、復活の期間は「4~5か月」でもよい。
許された後は、浮気していないことが必要です(改めて浮気をしていた場合は、やはり3つの条件が検討されます)。
参考
東京高等裁判所の平成4年12月24日判決(事件番号:平4(ネ)2021号)
上記判決は、こうした一度は宥恕し(許し)、その後、4、5か月は通常の夫婦関係をもったけれど、その後夫婦関係が破綻した際に、かって浮気した者からの離婚請求について、その者が浮気をしたこと(有責性)を理由に、離婚請求を排除する(最高裁の3つの条件を満たさない限り離婚が認められないと主張する)ことは許されないとしました。
この判断についての上記判決の理由を要約すると「宥恕があつた以上、再びその非行に対する非難をむし返し、有責性を主張することを許さないとする旧民法814条2項、813条2号の趣旨は、現行民法下でも不貞行為を犯した配偶者から離婚請求があつた場合についても妥当するものというべき」ということです。
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