当ブログにようこそ。
渋谷で弁護士をしている上野訓弘です。
今回は、「浮気された者から浮気をした者への離婚請求は、絶対に認められるのか(浮気が発覚した夫又は妻が結婚相手から離婚を請求されたら、離婚しなければならず、もう一度やり直すことは出来ないのか)」シリーズのまとめです。
※前回までの記事はこちら
・浮気された者から浮気した者への離婚請求は絶対に認められるのか①
・浮気された者から浮気した者への離婚請求は絶対に認められるのか②
・浮気された者から浮気した者への離婚請求は絶対に認められるのか③
1 基本原則
まず、浮気された者からの離婚請求は、原則として認められえます。
一度だけの浮気でも、離婚が認められ得ます。
そもそも、浮気(不貞行為)について、計画性や、継続性は要求しないのです。
このため、偶然の浮気、たとえば、その場の勢い、お酒に酔った勢いでの浮気でも、離婚が認められ得ます。
2 ただし、例外があります
浮気(不貞行為)があったとしても「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することが出来る(離婚を認めない)」とされています。
このため、浮気があったとしても、絶対に離婚が認められるとは限らないのです
(浮気があっても婚姻を継続した方が適切と裁判所に判断された場合、離婚は認められないのです)。
この「婚姻の継続が相当」である(離婚を認めない)と判断される際に考慮される「一切の事情」とは、過去の裁判例に照らし、夫婦の現状、浮気に至る経緯、浮気した者の態度、離婚による経済状況の変化、さらには子供の状況等様々な事情が含まれます。
これに関しては、浮気をした夫が反省していること及び、妻からの離婚請求ではあるけれども離婚を認めた場合その妻がかえって経済的に不利益を被ること等を理由に、浮気があっても離婚を認めなかった東京地方裁判所の昭和30年 5月 6日判決(事件番号:昭27(タ)12号)があります。
ただし、この昭和30年の判決は、現在でもどこまで妥当するのかは不明であり、現在では、同じような事案でも違う結論になる可能性があります。
3 「浮気の証明」の問題
上記は、全て浮気した事実が認められることが大前提です。
浮気をした者が浮気を認めていた場合には、浮気をした事実は当然認められます。
ですが、浮気をした者が、浮気を否定していた場合には、その浮気の事実を証拠によって証明すること、すなわち立証が必要になります。
その浮気の立証は、様々な事実、証拠から行います。
ただし、浮気の立証は、困難な場合も少なくありません。
そもそも、浮気の決定的な証拠がない場合もあるからです。
もっとも、そうした場合でも、浮気をうかがわせる事実及びその事実を示す証拠から立証をしていきます。
たとえば、浮気をうかがわせる事実としては、
浮気相手と2人だけの旅行をうかがわせるメール、
誰と行ったかは分からないけれどブティックホテル(ラブホテル)を利用している事実、
不倫相手と考えられる人物との不自然な接触状況等の事実があります。
これらの事実については、
写真、メール、ライン、携帯電話の受信・着信履歴、会話等を録音した録音テープ、クレジットカードの明細(明細からは、どこで何を買い、切符の購入、ホテルの利用等が分かることがあります。)等が証拠になります。
ただし、証拠や、その証拠の収集方法によっては、証拠の価値が低下したり、さらには犯罪になってしまう場合もあるので、ご注意ください。
■離婚・男女問題についてのその他関連ブログはこちら
・浮気した者からの離婚請求は絶対に認められないのか
・勝手に別居した相手に生活費を出さない場合、それを理由に離婚が認められてしまうことがあるのか?
・精神病(うつ病、統合失調症、認知症、アルコール中毒等)になってしまった相手と、相手の病気を理由に離婚できるのか?
・性格の不一致を理由に離婚できるのか?
・姑(夫の親族)との関係がうまくいっていないことを理由に離婚できるのか?
・妻や夫に、勝手に離婚届を出されてしまったら?
・養育費にかかる税金(一括でもらう場合、月払いでもらう場合の贈与税)
■相談・問い合わせはこちら■
------------------------------------------------------------
上野訓弘法律事務所
弁護士上野訓弘
℡03-4360-5720|9:00~18:00
東京都渋谷区道玄坂1-12-1
渋谷マークシティW22階101
『渋谷駅』直結
http://www.rikon-uenolaw.jp/